湾岸プロマネ日記

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5Gの通信インフラと国家安全保障

5Gサービスがアメリカと韓国で始まりました。日本では2020年の東京オリンピックに向けて商用開始を目指しているので、この記事を書いている2018年12月7日現在では、そこまで大きなニュースにはなってきませんでした。

 

ところが、12月6日にソフトバンクの通信障害、HuaweiのCFOがカナダで逮捕されたニュースを皮切りに、日本のTVニュースでも5Gのトピックが取り上げられ始めました。

ソフトバンクの通信障害、「原因はソフトウェア証明書の期限切れ」--エリクソンが認める - CNET Japan

HuaweiのCFO逮捕で中国株価急落、貿易摩擦のさらなる高まり懸念 | TechCrunch Japan

 

これら二つの観点から、5Gの通信インフラと国家安全保障について考えてみたいと思います。

 

 

ソフトバンクの通信障害(2018年12月6日)

12月7日現在で報道されていることは、今回の障害の原因は、エリクソンのソフトウェアが取り扱う、証明書の期限切れが起因とされています。ほぼ同時刻で、世界中で11の通信事業者も、同じように通信障害が発生した、との情報がインターネット上で見られます。お客さんに通信サービスを提供している、ソフトバンクやUKのO2などの通信事業者は、ネットワーク機器にエリクソン社のものを使用していたようです。

 

通信事業者は水平分業体制

このように、同時多発的に世界中で障害が発生した理由は、通信事業も他の産業と同じで、水平分業が避けられない業界だからです。各通信事業者は、お客さんに対して最終的に品質保証する義務がありますので、責任は免れませんし、拡大解釈すれば、国民の共有資産である電波を使っているので、各社のお客さん以外の国民にも責任があるという言説もあります。だからと言って、通信事業者がそれぞれ独自にネットワーク機器を開発・メンテナンスするのは激しくコスト効率が悪いし、相互接続性(ドコモーソフトバンク間の通信)を担保することも多大な工数がかかり、我々ユーザーのコストも上がってしまいます。

よってもって、エリクソン、ノキア、ファーウェイ、サムソン(古くはNECや富士通)などのネットワーク機器専門の会社が開発・メンテナンスし、競争しながら品質を高めてコストを抑えて効率化するという市場原理が働きます。

 

ネットワーク攻撃

今回の通信障害は、エリクソン社製ネットワーク機器の証明書期限切れに起因する問題だという報道がありました。貿易摩擦や戦争等で、仮に相手国を攻撃したい場合、通信障害をあえて仕込むことも可能になります(今回の件がそのケースであるとは考えていませんしそのような事実も出てきていません)。

日本でも報道されたように、スマートフォンが使えなくなったことにより、実際に混乱がおきました。幸いにして、社会インフラ(銀行など)や命に関わる医療系の事故が起きなかったことが救いでしょう。因みに、これが5Gの世界で自動運転に影響がでると想像すると怖いですね。

 

ネットワーク機器の遠隔操作

ネットワーク機器は、物理的に置いてある場所に行って、パソコンつなげて操作するのかというと、すべてがそういうわけではありません。当たり前ですが、ある程度リモートでメンテナンスやコントロールすることができます。当然それらは悪用されないように暗号化されています。

つまり、意図的に、ある場所のネットワークを遠隔操作でダウンさせることは、技術的に可能です。しかも、先に書いたように、水平分業されている業界なので、ある程度広範囲に同じネットワーク機器が張り巡らされています。

「たぶん」ですが、通信事業者の運用やメンテナンス部門は、ネットワーク機器ベンダーから仕様書を入手して、トラブルシューティングのマニュアルがあり、トレーニングをしてトラブル時に備えているハズです。ですが、その仕様書には全ての情報が書かれているかと言われれば、高い確率でNOです。

お客さん(この場合は通信事業者)にすら見せたくない、隠しコマンドや設定レジスタがあるはずです。通信事業者毎に実現したいサービスが異なるので、それに応じて課金するために、契約外の機能に関してはソフト的に使えないようにして、当然仕様書にも記載されないでしょう。

 

通信インフラと国家安全保障

このように、ブラックボックスで、かつ、暗号化されたデータを使って、意図的にネットワーク障害を引き起こすことは可能です。国民の一般生活や国防に関わる装置に対して、ネットワーク機器メーカーを選定する場合は、性能やコスト以外にも、その会社と国の信用が欠かせません。

あなたが、国家公務員で国防に関する機器選定の決裁者なら、エリクソン(スウェーデン)、ノキア(フィンランド)、ファーウェイ(中国)、サムソン(韓国)のどれを採用しますか?

という議論が、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスで起きていて、日本でも開始しました。 

 

アメリカ政府、同盟諸国にファーウェイ製品の使用中止を求める。使用しない国には資金援助の提供も - Engadget 日本版

 

オーストラリアがHuaweiの5G参入を禁止 国民は支持か - ライブドアニュース

 

ニュージーランド、5G網構築でHuawei製品使用案を却下。セキュリティリスク懸念 - Engadget 日本版

 

イギリス通信大手のBTもファーウェイの技術排除へ 5Gから締め出し - ライブドアニュース

 

政府、中国通信2社製品を排除へ(共同通信) - Yahoo!ニュース

 

米中貿易摩擦の1トピックとして、ファーウェイのCFOがカナダで拘束されたのは、こうした背景があるからだと個人的に考えています。技術盗用に堪忍袋の緒が切れ、ソーシャルセキュリティに関連付けて経済的に叩くという構図でしょうか。

 

 

5G時代に向けた、各通信事業者の通信機器の設備投資は、今まさに最終コーナーを曲がったところにいます。Huaweiを本命として考えていた通信事業者は、商用化計画の見直しを考えざるをえないかもしれません。日本国内ではソフトバンクがそれに当たりますが、この半年ぐらいの動きに注目したいと思います。